OTCの薬理学 

市販薬でより良い医療を提供出来るように

授乳中に安全に使える薬について その1

https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/druglist_yakkou.html#section12

 

医療用が対象なのでOTCはカバーできないものが多いですが。。。

該当するものをピックアップすると

 

アセトアミノフェン

イブプロフェン

インドメタシン

・ロキソプロフェン

・ジクロフェナク

 

・アシクロビル

 

・トラネキサム酸

 

・ジメンヒドリナート

ジフェンヒドラミン

・フェキソフェナジン

・ロラタジン

 

・ウルソデオキシコール酸

ファモチジン

・ロペラミド

 

・テオフェリン

 

これを見ると大体のものは使えそうですが、単剤のものが少ないので評価が難しいものが多々あります。次回以降で使えそうなものをピックアップしていきます。

OTCの風邪薬の意義

http://kunota506.com/?p=26535

引用の引用になりますが
https://www.aafp.org/afp/2019/0901/p281.html

風邪に対する薬物療法の最新のエビデンスが分かりやすくまとめられている。
コデインは効果がない」
「抗ヒスタミン単剤では症状の改善はない」
ムコダイン(カルボシステイン)はプラセボと変わらない」
「ビタミンC、経鼻ステロイドは効かない」
とどれも否定的で、解熱薬のみ症状緩和に効果があると唯一推奨されている。



とのことです。市販の風邪薬は上記の成分が入ってる事がほとんどです。そうなってくると市販の風邪薬の存在意義はほとんどなく(抗ヒスタミンも単剤なことがほとんど)、未意味があるとしたらタイレノール等の鎮痛薬くらいでしょうか。

いずれにしろドラッグストアには非常に不利な情報です。

熱中症に対して薬局薬剤師ができること

この時期になると救急車が通る頻度が上がり、熱中症が増えてきたなと思っています。発症してしまうと薬局薬剤師として出来ることはかなり限定的になると思いますが、日々の予防に関しては出来ることは多いと思います。

 

一応ガイドラインがあるので

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/heatstroke2015.pdf

 

色々書いてありますが、何を飲んでもいいと思います。ただ頭痛だったりとか倦怠感を少しでも感じるようであれば、熱中症になりかけている可能性があるのでOS-1等の経口補水液を使用していく必要があるのだと思います。

 

飲む目安

www.os-1.jp

 

一般成人なら一日1本が目安です。何本も飲めばいいというものではないので適切な量の摂取が必要です。あくまでもミネラル等の補給になるので、何本も飲んだからといって熱中症にならないわけではないので。

 

それ以外でできることは店舗で涼んでいってもらうこと。実際の治療でも38度以下にまで冷やしていくのをやるので。病院みたいなことは出来ないので、涼しい店舗で涼んでもらいながら何か飲料を飲んでもらうのがいいかと思います。

 

やれることはこれくらいになってしまうのかなと思いますが、その間に熱中症の恐ろしさ(多臓器不全など)を話せると熱中症患者が少し減るかもしれません。

 

 

PS

学生時代に病院実習で高度救命救急で研修を行ってきました。この時期だと毎日何人か

搬送されてきます。大体の人は翌日には一般病棟に移動になるか退院になりますが、ごく一部の人は多臓器不全になったりとかで長い間の入院生活になってしまいます(主に何か基礎疾患をもった高齢者)。

薬局薬剤師の行動が少しでも熱中症患者を減らせればと思います。

汗疹、虫刺されに対してのOTC選び ~概要~

そろそろ熱くなってきて、汗疹や虫よけ虫刺されの薬の需要が高くなってくると思います。何となく選び方の目安を。

 

まずは虫よけから

 

基本的に成分は3種類

 

・ディート

イカリジン

・香料

 

香料はほとんど効かないみたいなので、選ぶとしたらディートかイカリジンを選ぶといいと思います。ただディートは肌荒れを起こす可能性があり、小児に対しては使用制限があります。ただ対象になる虫はディートの方が少し多いです。効果的にはどちらもほとんど変わらないようです。

なので小児、大人でも肌が弱いならイカリジン、それ以外ならディートを選ぶといいと思います。

 

 

次に汗疹・虫刺され

 

基本的にステロイドの軟膏・クリームを使用するのがいいと思います。個人的な感覚になりますが、非ステロイドは効果が十分でなく掻き壊してしまう可能性があります。また液体に関しては滞留性悪く、汗で流れ落ちてしまう可能性があるので不適なんじゃなかと思います。

汗疹に関しても基本的にはステロイドでいいと思います。年齢・部位を考えて使えばいいと思います。一応汗疹用のステロイド商品がありますが、虫刺されのものを使ってもいいと思います。

ステロイドの商品はすべて指定2類です。なのでその中から選べばいいと思いますが、絶対にステロイドダメな人はそれなりの人数いると思いますので、その場合は指定2類以外を進めればいいと思います。基本的には有効成分はジフェンヒドラミン等なので、好きなものを選んでもらえばいいと思います。

 

この辺の薬はかなり種類がありますが、整理すると意外と簡単になると思います。

スイッチOTCの募集に関して

随時、厚生労働省が募集をかけてます。

www.mhlw.go.jp

 

毎年10~20件程度提出されているみたいです。先日私も提出してみました。ニキビ関係のOTCで有用そうなのが少ないのでアダパレンを。グリンダマイシンはH28年に審査でNGが出ているので、一般で販売できるのはこの辺くらいな気がします(冷所保管だったりするので薬店等で販売するのは厳しそう)。

 

ただこの審査でOTC化可能と判断されても、要指導医薬品として登録されるわけではなくあくまでも候補になるだけなので、実際に世に出るまではなかなか時間がかかりそうです。H28年から始まっていますが、まだ商品として世に出たものはありません。また審査が終わるもの2年くらいかかるような感じです(まだH29年に申請したものががほとんど完了してない)。

 

ただ、やる意義はあるような気がするので積極的にやっていきたい。

 

何となく難易度を妄想してみました。

 

<不可能>

抗がん剤などの非常にリスクが高いもの

睡眠薬等の依存性があるもの

抗生物質などの耐性菌等が発生する可能性があるもの(外用は除く)

・麻薬、覚せい剤原料、毒薬、向精神薬など法的に規制があるもの

 

言うまでもなく。

 

<難しい>

メタボリックシンドローム関係

中性脂肪に対してエパデールTだったり、トクホでもそれっぽいものは結構あるし。なくはないので不可能ではないと思うが、現場で一般的に使われるものとなると不可能に近いと思う。長期的に服薬しなくてはならないもののOTC化は無理があるし、大衆にたいしてメリットが少ないと思う。多分、可能と判断されても企業は乗ってこないと思う。まあ健康診断前に需要はありそうだが。

 

・鉄剤

OTCでも鉄含有のものはあるが、鉄としての正味量が10mgくらいなので医療用のものに比べて10倍くらい少ないです。

貧血は原因の究明が大事なので色々と症状をマスキングしてしまう可能性があるものは微妙です。そして数か月程度継続が必要なのでOTCとしてもなかなか難しいと思います。消化管出血等がない貧血・受診経験あり・一日量を50mgなら何とかなりそうな気もしますが。

 

<比較的簡単>

・抗アレルギー薬

アレグラ、アレジオン等々、ここ数年でスイッチOTCが増えてきました。昨年はタリオンが要指導に登録されたのですがまだ商品化されてません。今年度あたりでしょうか。

ただ続々とスイッチしているのでネタが少ないです。ザイザルは今審議中なので、残りはデザレックスとかビラノアとかルパフィンとか。OTCとして需要があるのはデザレックスくらいでしょうか。

 

・鎮痛薬

こちらも何個か審議中です。ただロキソニンとイヴ、アセトアミノフェンがあるうえでこれ以上必要なのか?市場に入り込めるだけの競争力のあるものがあるのか?といった疑問はありますが。

 

・外用ステロイド

現状ストロングクラスのステロイドは2種類しかOTCではありません。もう一種類くらいあってもいいような気がします。

点眼も使用経験があれば、あっていいような気がします。

 

 

OTCに興味関心がない薬剤師は多いと思いますが、自分の扱える範囲が広がるわけであって。薬剤師の将来のためにも考えていくのはありなのかなと思っています。

鎮痛薬の選び方

今回は鎮痛薬です。商品棚を見ると鎮痛薬はかなり種類があり選ぶのも大変だと思いますが、中の成分に着目して商品を見るとかなり楽に選べると思います。

 

まず使われている成分ですが

 

・ロキソプロフェン ⇒ ロキソニン

・アルミノプロフェン ⇒ ルミフェン

イブプロフェン ⇒ イヴなどなどなど

アスピリン ⇒ バファリン

アセトアミノフェン ⇒ タイレノール、小児用鎮痛薬

エテンザミド ⇒ ナロンエース、セデスなど

イソプロピルアンチピリン ⇒ セデスなど

 

この7種類。成分の右に主な商品を挙げてみました。ただこの辺の商品くらいしか店頭で見る機会はないと思うので、この辺だけ覚えておけば業務に支障は出ないと思います。問題はイブプロフェン。かなり数が多いです。イブプロフェン以外を覚えて、残りはイブプロフェンと覚えればいいかと思います。

 

で、成分の比較ですがどれが優れているかなんとも言えません。IFの情報もイブプロフェンとロキソプロフェンくらいしか内容がしっかりしておらず、何とも比較しずらいです。

ロキソニンのIFを見ると若干イブプロフェンより優れているような記載があります。ただ胃腸障害に関しては、両社ともほとんど差はなくプロドラックだからロキソニンの方が胃腸に負担が少ないというのはなかなか言えないのかなと思います。発生率がロキソプロフェンが2.25%、イブプロフェンが2.99%。

ただこれは医療用の物での比較です。OTCではイブプロフェンは1回量が200mg以下であることが多く、200mgのものを選ぶとロキソニンよりも値段が高くなることが多いです。また鎮静成分も含有している場合がほとんどで、眠くなるのはダメという方にはお勧めできません。何もないようでしたらロキソニンが薦めるのが無難ではないかと思います。

風邪薬の比較 その2

今回は前回取り上げたパブロンエースProと何かを比較します。

風邪薬の比較 その1 - OTCの薬理学

 

違った系統の方が比較し甲斐があると思って、そんな感じのを選びました。

 

contac.jp

 

Mr.コンタックでおなじみのコンタックです。

1日量で比較してみます。

     パブロンエースPro      コンタック風邪総合
イブプロフェン 600mg 900mg アセトアミノフェン
L-カルボシステイン 750mg    
アンブロキソール塩酸塩 45mg 8mg ブロモヘキシン塩酸塩 
ジヒドロコデインリン酸塩 24mg 48mg デキストロメトルファン
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 60mg 40mg dl-メチルエフェドリン塩酸塩
クロルフェニラミン 7.5mg 3.5mg d-クロルフェニラミン
リボフラビン 12mg 3.5mg 無水カフェイン

 

なかなか比較は難しいですが。。。

解熱鎮痛に関してはイブプロフェンではなくアセトアミノフェンなので、効果は若干劣るような気がするのと抗炎症作用がほぼないのは劣っているかもしれません。ただ胃腸への負担を考えると、十分なのではないでしょうか。風邪だと胃腸が弱りますし。あとインフルエンザの際に、未成年にイブプロフェンを投与するとインフルエンザ脳症のリスクがあるので、安易に奨めない方が無難な気がします

鎮咳に関して、量的に考えればパブロンの方が上だと考えられます。

鼻水に関してはパブロンの方が、d体の量としても多いので効果は強いと思われますが血管収縮薬が入っていないので、どちらもそこまで効果が期待できない気もしますが。

去痰に関してはパブロンエースProの方が最低でもカルボシステイン分は上のでしょうか。ただこいつらはそんなに効くのか?というのが個人的な感想ですが。

 

それと使える年齢がそれぞれで異なります。

コンタックは7歳以上

パブロンエースProは15歳以上

ジヒドロコデインイブプロフェンの有無で変わってきますが、どちらも含有してないコンタックは小学生から使えます。

 

ふわっとした比較になってしまいましたが、

未成年、胃腸障害がある、眠気が出てほしくないならコンタック

成人で症状がひどいならパブロンエースPro

の方が適しているような気がします。

 

1.5倍くらいパブロンエースProの方高いのを考えなければ。。。