漢方とそのエビデンス その1(風邪関係)
漢方は数千年前から使われており、だから臨良試験をしてなくとも医薬品として扱って問題ない、なんてことを大学の授業で聞いた記憶があります(ややうろ覚え)。あの頃は何とも思いませんでしたが、今ではあまりのエビデンスの無さに思うことも。
今回は市販で手に入る漢方薬をエビデンスと共に紹介したいと思います。ただ市販の漢方は満量処方になっているものが多くなく、たとえ信頼できるエビデンスがあったとしてもそれをそのまま当てはめるのが難しいものもあります。
では、それも踏まえて。今回は風邪関係に絞って紹介します。
<葛根湯>
よく市販だと風邪のひきはじめにとかで売り出されていますが、それらしいエビデンスを見つけることは出来ませんでした。むしろひきはじめから使っても総合感冒薬(パブロン)とそんなに差はないとか。
葛根湯はメジャーな漢方なせいか様々な量での製品があります。
満量処方の1/2、3/4は記憶にありますが、ほかにもあったような気がします。勿論満量処方もあります。
風邪の諸症状にも肩こりにも適応があることはありますがそれらしいエビデンスがなく、私は積極的に勧めません。
<小青龍湯>
調剤でも花粉の時期に大量に処方されますね。葛根湯と違って色々としっかりとしたエビデンスをもっていて非常に優秀な漢方のイメージです。漢方でありながら証を気にしないで使えますし。
http://www.jsom.or.jp/medical/ebm/er/pdf/950007.pdf
満量処方、1/2(錠剤)、3/4があります。まあ満量処方のものを使用するのが無難でしょうね。
花粉症で眠気が気になる方には、小青竜湯を選択するのもいいともいます。
<麦門冬湯>
これも小青竜湯と同様有用な漢方だと考えてます。
例数は少ないですが、RCTでデキストロメトルファンと比べて同等以上の結果を出してます。デキストロメトルファンを使った咳止めは色々ありますが、効かなかったときなどは麦門冬湯を奨めるのもありだと思います。
かぜ症候群後咳嗽に対する麦門冬湯と臭化水素酸デキストロメトルファンの効果の比較 (パイロット試験)
これも満量処方、3/4があります。
<麻黄湯>
インフルエンザに使える漢方です。一応タミフル等と比較して非劣勢を示したようです。最近日経DIで青木氏が解説していたのでそちらをご覧いただければいいかと思います(手抜き)。
勿論、試験は満量処方で実施をしているので、薦めるのもの満量処方がいいと思います。
葛根湯はともかく他のドラックストアでよく見る漢方は、それぞれの症状に対して十分効いてくれそうです。ドラックストアでは使える薬の種類が少ないので、使える手段を減らさないためにも有用な漢方は把握しておくべきだと思います。