OTCの薬理学 

市販薬でより良い医療を提供出来るように

スイッチOTCの募集に関して

随時、厚生労働省が募集をかけてます。

www.mhlw.go.jp

 

毎年10~20件程度提出されているみたいです。先日私も提出してみました。ニキビ関係のOTCで有用そうなのが少ないのでアダパレンを。グリンダマイシンはH28年に審査でNGが出ているので、一般で販売できるのはこの辺くらいな気がします(冷所保管だったりするので薬店等で販売するのは厳しそう)。

 

ただこの審査でOTC化可能と判断されても、要指導医薬品として登録されるわけではなくあくまでも候補になるだけなので、実際に世に出るまではなかなか時間がかかりそうです。H28年から始まっていますが、まだ商品として世に出たものはありません。また審査が終わるもの2年くらいかかるような感じです(まだH29年に申請したものががほとんど完了してない)。

 

ただ、やる意義はあるような気がするので積極的にやっていきたい。

 

何となく難易度を妄想してみました。

 

<不可能>

抗がん剤などの非常にリスクが高いもの

睡眠薬等の依存性があるもの

抗生物質などの耐性菌等が発生する可能性があるもの(外用は除く)

・麻薬、覚せい剤原料、毒薬、向精神薬など法的に規制があるもの

 

言うまでもなく。

 

<難しい>

メタボリックシンドローム関係

中性脂肪に対してエパデールTだったり、トクホでもそれっぽいものは結構あるし。なくはないので不可能ではないと思うが、現場で一般的に使われるものとなると不可能に近いと思う。長期的に服薬しなくてはならないもののOTC化は無理があるし、大衆にたいしてメリットが少ないと思う。多分、可能と判断されても企業は乗ってこないと思う。まあ健康診断前に需要はありそうだが。

 

・鉄剤

OTCでも鉄含有のものはあるが、鉄としての正味量が10mgくらいなので医療用のものに比べて10倍くらい少ないです。

貧血は原因の究明が大事なので色々と症状をマスキングしてしまう可能性があるものは微妙です。そして数か月程度継続が必要なのでOTCとしてもなかなか難しいと思います。消化管出血等がない貧血・受診経験あり・一日量を50mgなら何とかなりそうな気もしますが。

 

<比較的簡単>

・抗アレルギー薬

アレグラ、アレジオン等々、ここ数年でスイッチOTCが増えてきました。昨年はタリオンが要指導に登録されたのですがまだ商品化されてません。今年度あたりでしょうか。

ただ続々とスイッチしているのでネタが少ないです。ザイザルは今審議中なので、残りはデザレックスとかビラノアとかルパフィンとか。OTCとして需要があるのはデザレックスくらいでしょうか。

 

・鎮痛薬

こちらも何個か審議中です。ただロキソニンとイヴ、アセトアミノフェンがあるうえでこれ以上必要なのか?市場に入り込めるだけの競争力のあるものがあるのか?といった疑問はありますが。

 

・外用ステロイド

現状ストロングクラスのステロイドは2種類しかOTCではありません。もう一種類くらいあってもいいような気がします。

点眼も使用経験があれば、あっていいような気がします。

 

 

OTCに興味関心がない薬剤師は多いと思いますが、自分の扱える範囲が広がるわけであって。薬剤師の将来のためにも考えていくのはありなのかなと思っています。